リチウムイオン電池や燃料電池には、イオン伝導体という結晶内をイオンが移動するような材料を用いています。どのようなイオン伝導体を設計すればイオンの移動を高速化できるのかを明らかにしたいが、結晶内を移動するイオンの速度や分布などを計測することは極めて困難です。本研究室では、イオン伝導体内を動くイオンの様子を可視化するための装置や観察手法の開発を行い、イオン伝導体の特性を明らかにしようとしています。
これは、リチウムイオン電池の正極材料として用いられているマンガン酸リチウム(LiMn2O4)結晶内のリチウム分布が放電プロセス(電池を使用中)で変化している様子を示した図です。
リチウムイオン電池とは、充電時に、正極材料にあるリチウムイオン(Li+)は、負極材料に電解質を通して強制的に移動させられます。
この時、リチウムイオンの正電荷が一つ移動すると、電荷を中性にする必要ため、負電荷(電子)が一つ、配線を通して負極に移動します。
これにより、電子一個が負極に蓄えられたことになります。
電池を使う際には、リチウムイオンが負極から正極へ戻ろうとする力を借ります。リチウムが正極に戻る時、その力に準じた電圧差で電子も負極から正極へ配線を通じて移動します。
この電子の動きを利用して、スマートフォンなどの電子機器を動かすことが出来ます。